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2008年02月11日

Lesson5<郷土料理!しもつかれ>

鎮守の森_edited.JPG「しもつかれ」。栃木県を中心に江戸時代から伝わってきた冬の郷土料理で、地元ではコンクールがあるほどポピュラーな家庭の味です。

見た目が今一つだとか、栃木の人でも好き嫌いが分かれるなどと言う人もいますが、お酒の進む料理です。毎年、初午の日(今年は2月12日)、神様にお供えするために初めて作る慣わしとのこと。去年食べさせていただいたお宅の味を思い起こし、林地区の立派な鎮守の森を真後ろに背負って建つR子さん宅の厨房にお邪魔しました。

R子さんは、試行錯誤しながらいろいろな自家用野菜を育てていて、それを素材にこだわりの手料理を作る探究心・好奇心旺盛な方です。ご主人は、去年初めて米作りをした私に、縄のない方、おだ木の組み方から代かきまで、何くれと指導をしてくれた田んぼの先生なのです。鬼おろし_edited.JPG

さて、しもつかれの材料は、まず地元の那珂川でとれた塩漬けの鮭の頭。これをしっかり一晩、水を取り替えつつきれいに塩抜きしておきます。この塩抜き加減で味が変わるので、作り方のポイントの一つです。

それから鮭の頭を骨が柔らかくなるまで煮ます。柔らか味を増すため梅干を入れて、圧力鍋なら弱火30分、鍋で煮込むなら二昼夜かけねばなりません。
次にダイコン。煮ても料理が苦くならないよう、辛味の少ない品種を選びます。そしてニンジン。

このダイコンとニンジンを、写真(上)の「鬼おろし」というV字型の特別な道具でおろすのです。「鬼おろし」おろした大根_edited.JPGを使うとダイコンを荒く大きくおろすことができ、自然な甘みが出てくるそうです。

他に、酒粕や、その年の節分に用意した豆(年豆)を入れる家庭も多いとのことですが、Rさん宅ではしもつかれをお供えする氏神様がお稲荷さんであることもあり、油揚げを入れます。これらを煮汁ごと鍋に入れて再び煮込んでいくと、鮭の頭とダイコンの甘みでおいしいだしが出ていい匂いが漂ってきました。醤油を加えながら調整していきますが、この味加減を好みどおりにするのが難しいと言うのはご主人のMさんです。仕上げに少々の酢を入れて完成です。
おろしを混ぜるedited.JPGたっぷりと鮭のだしが出た味は、冷めても、いや冷めてからの方がおいしいとも言われます。出来上がったしもつかれは初午の朝、家の主が氏神様(お稲荷様)にお供えします
毎年「初午の日にお供え」という習慣は変わらないので、以前会社勤めをしていた頃のR子さんは、その前の晩には夜なべをして、しもつかれを作ってから出勤していたそうです。しもつかれは各家ごとにそれぞれの味付けがあり、母から嫁、娘へと伝えられてきました。それでも伝わる間に一人ひとりの個性や工夫が加わって、微妙に味が変わっていくといいます。

県内では「しもつかれコンクール」や「しもつかれ名人」表彰もあ完成鍋手つき_edited.JPGるそうですが、一家の主のMさんは、R子さんの作った「しもつかれ」を口にして初めて、「今年もまたこの季節が巡ってきたな」と実感するそうで盛付けしもつかれ_edited.JPGす。息子さんも、家で作ったしもつかれだけは食べるとのこと。
おすそわけしていただいた「しもつかれ」を家に持ち帰り、器に盛ってみました。どちらかといえば「外見より中身」の質実剛健料理。
冬のこの地でしもつかれを食べて季節の巡りを感じられるようになったら、本当の栃木人かな?と考えながら、おいしくいただきました。

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2008年02月05日

ホームルーム<人生いろいろ>

IMGP0718_edited.JPG「おむすび茶屋」の食材に出荷させてもらった大根です。ずっと命をつないできた、これからも子孫を残していく「在来種」は、同じ種をまいてもこのように個性豊か。確かに、収穫、出荷、加工のどの段階でも、同じ形に整ったF1の品種は作業効率がいいに違いありません。けれどこの「打木源助大根」のように子孫へ命をつないでいける在来種、固定種の種から育った野菜の方が、環境が大きく変わってもいずれかの個体が生き残る確率が高いそうです。茂木でも何年ぶりかという今年の大雪に強いのは、どの子かな?
posted by メダカのがっこう もてぎ事務局 at 22:06| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月09日

Lesson4<かまどで炊いてお餅つき>

IMGP0709.JPG林地区は、メダカのがっこうもてぎ分校の隣にある部落です。ここの住民の方たちは、メダカのがっこうと一緒に棚田を復元し管理するなど、青梅地区と並んで大切なパートナーです。
この部落の空き家に4年前に移り住んできたのが、有機農家「空土ファーム」の松原さん一家。30代の気さくでアートなご夫婦、一緒に移住してきたメス犬のハナちゃん、そして昨春、当地で生まれた女の子こはるちゃんが加わり3人と1匹です。

野菜を作っている畑は、「空土」という農場の名前のとおり天空と大地のはざまにあり絶景です。今日はこの松原家で自家製の餅米を炊き、お餅をつくというので行ってみました。

010火吹き竹.JPG納屋の脇の土間にある昔からのかまどには、すでに餅米を入れたお釜が載せられて、真っ白な湯気が立ち昇っています。時代劇でやるように火吹き竹で空気を送り込んでいくと、かまど口から炎が激しく噴き上げ、部屋中に湯気がもうもうとたちこめます。

炊いているのは、去年、松原さんたちが家の前の田んぼで苦労して草を取りながら育ててきた、農薬や化学肥料を一切使わない餅米です。

044釜と炎.JPGこうしてお餅をつくのは今年が二年目ですが、後ろのお宅に住んでいて土地のこと農業のことなど、松原さん一家が何でも相談し教えてもらっている地元の「知恵袋」、ヨネさんに指導してもらったそうです。

白米は40分、玄米はもう少し長く約1時間ほどかけて炊いたら、餅つき機に入れてついた餅を一握りづつ手に取り、ちぎった所を包み込むように丸めてから手のひらで軽くつぶして、まずは丸型の餅を作ります。
「前回のお餅はちょっと粘りが足なかったねぇ」等々、松原さんご夫妻は明るい声で批評しあいながら作業を進めていきます。

次に、つきあがった餅を急いで真四角な木枠に入れて手で伸ばしていくと、平らな餅ができあがります。十分に伸ばしたら、木枠をひっくり返して餅を取り出し、一枚づつ並べていきます。固くならないうちに、手早くやらねばなりません。

055餅完成.JPG乳母車に乗ったこはるちゃんがまだすわらない首をふりながら、忙しく働く若いお父さんとお母さんをじっと見つめています。

こうして夫婦の息の合った連係プレーで一連の作業をちゃくちゃくとしあげ、できあがった玄米餅は、柔らかくて何ともいえぬ香ばしい匂いのするおいしさでした。

残念ながらこのお餅は一般販売はしていませんが、この空土ファームさんのように茂木町に移住して頑張っている有機農家と作物に興味のある方は、茂木町ホームページで「茂木ゆうきの会」の欄を見て問い合わせてみてはいかがですか?050こはちゃんと餅.JPG
この町が移住者の受け入れに積極的なこともあり、他にも農薬や化学肥料を使わない農法に取り組んでいる個性的な農家が何軒もあります。

都会暮らしで田舎に親戚がいない人でも、もしかすると茂木町で、家族同様に付き合えて安全な食べ物を分け合える農家との出会いがあるかもしれません。
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2007年12月31日

Lesson3<家神様のしめ飾り>

縮小620_edited.JPG古くからの農村の家にはたいてい立派な神棚があります。今日は大晦日。その神棚の家神様(うちがみさま)にお供えして新年を迎えるため、地元の達人から稲藁を使った注連飾り(しめかざり)の作り方を教えていただきました。今日の先生のAさんいわく、「女の子の三つ編み(の応用)と同じだよ。」。残念ながら私には三つ編みの経験がありません。

縮小624_edited.JPG
縮小626_edited.JPG
  稲藁は、枯れ切らずに少し青みを帯びているぐらいのものが見栄えもよいそうです。適当な藁束を取り、まず細い茎や枯れた葉などを取り除きます。その中から太さの同じくらいの藁を3本選んで右足指にはさんだら、まずそのうち2本をクロスさせては手のひらでねじる、またクロスさせては手のひらでねじることを繰り返していきます。

これが初めての私には難しい。すいすいと手のひらから2本の縄が生まれてくるAさんに比べ、私の藁は両手のひらの間ですべってばかりでなかなかねじれてくれません。

この時、普通の縄ないは、重ねた上の手のひらを体側から見て手前から向こうへとねじりますが、注連飾りでは反対に、身体の手前に引き寄せる形でねじることになっています(体から見て右から左に縄をなっていく場合。時計回りにねじれることになる)。

縮小633_edited.JPG途中適当な所で、ねじった3本目の藁を組み込んでいき、全体の長さと太さを調節します。縄の先までない終わった時、中央の部分が両端よりやや太くなるようにできていれば完成です。

  できあがった新しい注連縄は、各家の家神様の神棚の下に吊るします。
おもしろいのは、同じ茂木の集落の中でも家系によって注連縄を架ける日が違うこ縮小632_edited.JPGと。こちら鮎田部落のA家では、元旦の午前中に餅や酒をお供えして新しい注連縄を架けますが、秋に替える家も正月を過ぎてから架ける家もあるそうです。

  先生の励ましで何とか形を整えた私の注連飾りを、もてぎ分校の前の住人さんから引き継いだ神棚に飾ります。来年がすべての生き物たちにとって良い年となりますように。
posted by メダカのがっこう もてぎ事務局 at 16:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月23日

Lesson2<おばあちゃんの漬物>

毎朝、田畑も庭も霜で真っ白です。冬野菜が旬の季節になりました。ここ茂木町の中山間地でも、自家栽培した白菜や大根などを漬物にします。
昔から伝わる冬場の食料保存の知恵の一つです。

  縮小IMGP0602.JPG ところが我が家の大根は、漬物に向かないずんぐりと太く短い形の品種、白菜も大きさ長さがいろいろです。こんなちぐはぐ野菜でうまく漬けられるかどうか。けれども、おいしい漬物をおすそ分けしてくれる近所のおばあちゃん「キイさん」は、にこにこしながら「大丈夫だよ」と漬け方を教えに来てくれました。

  キイさんは70代半ば、茂木で生まれ育ち、結婚して4人の子供と11人の孫と3人のひ孫がいる元気で朗らかなひいおばあちゃんです。若い頃から田畑や山の手入れ、布団作りまでなんでもやってきて、今も自給用の無農薬野菜を一人で育てています。お風呂は毎日、自分で薪で焚いて入ります。火種には大豆の豆殻がよいとか。

 そんな縮小IMGP0590.JPG知恵のたくさん詰まったおばあちゃんの昔話を聞きながら、一見漬物になりそうもない私の野菜を漬物樽に詰めていきました。
白菜、大根とも、そのままでは漬けづらい形なので、まず縦4分の1に切ります。切った白菜は隙間なく樽に並べて塩を振り、その上にまた隙間なく並べて塩を振ることを繰り返します。大根の方は手で直接塩をまぶしながら、やはりできるだけ隙間なく詰めていきます。
樽一杯になる手前まで詰めたら、押さえ蓋を載せ、その上に合計で6〜7キロぐらいの重石(漬物石)を置きます。
2、3日たって樽の半分ぐらいまで水が上がってきたら、中身の上下をひっくり返します。その時、大根は砂糖と塩で味付けした米ぬか(約二升)を間に混ぜ 縮小IMGP0608.JPGながら、漬け直して行きます。好みで柿の皮など入れる人もいます。それから数日後、樽の上の方まで水が上がってきたら重石を一つはずし、食べられるようになるとのこと。茂木の澄んだ水と空気の中で、きっとおいしく漬かることでしょう。
縮小IMGP0607.JPG
二つの樽を30分ほどで手際よく漬け終わり、姉様かぶりでひょいとバイクにまたがって颯爽と帰っていくキイさん。こんなにかっこいい「ひいおばあちゃん」が都会に何人いるでしょうか?
posted by メダカのがっこう もてぎ事務局 at 17:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月28日

Lesson1<青梅部落の大祭>

メダカのがっこうもてぎ分校がある栃木県茂木町の青梅部落。
今日は部落を守る十二所神社の大祭です。
里山と谷津田に抱かれるように23戸が点在するこの地に、ただ一人の里山自然学校在校生?として移り住んでまだ1年と4ヶ月ですが、今年からは地域の伝統行事にも加えてもらえることになったのです。

071028_1.JPG左の写真は集落、そして神社への入口です。
一年に一度、この日にだけ立てる白い立派な幟旗二本が秋空にはためきます。
縦約7、8メートルはあり、「神威縁如花」等と読めます。
右手の山に向かって大きなしめ縄のかかった鳥居をくぐり、急な階段を登った頂上が神社の社殿です。
ちなみにこの山周辺は、明治時代から第二次大戦中にかけアンチモニ鉱山として採掘が行われていて外からの人の出入りも多かったとのこと。
いくつも残る立坑の跡が忘れ去られた歴史を物語っています。
もてぎ分校の庭にも、よく見れば捨てた鉱物の破片がちらばっているはずだよと、お隣の家の方が教えてくれました。

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さて、ツインリンクもてぎの招致後に建て直されたまだ新しい社殿に上らせていただき、部落の方々と談笑しつつ待つこと30分、この日いくつもの部落のお祭りをかけもちして忙しい神主さんがふくよかな笑顔で登場しました。
社殿に上がって祈願をするのは各家の代表の男性達、女性達は社殿の外で酒食の用意をして待つしきたりのようです。
過疎地の例にもれず60、70歳代の方達が主力なので、40代の私などは若造です。

一同と一緒に頭を下げつつ耳をすませると、神主さんの祝詞の中に「U字溝」という言葉が聞こえてきます。
ちゃんと現代の農村のためのお祈りを考えているんですね。
神様へのお供え台上には、大根、白菜、酒、枡に入った新米、鏡餅、スルメ、赤飯が並んでいます。
いわゆる「お祭り騒ぎ」の賑やかさはありませんが、五穀豊穣をお祈りする正真正銘農村のお祭りでした。

以前、まだまだ子供の多かった頃のお祭りの日には子供達に甘酒がふるまわれ、それが楽しみだった、さらにもっと昔、相撲大会や田んぼでの草競馬さえ行われた時代もあった。穏やかな語り口で懐かしそうに話す人たちの声を聞きながら、部落への長い階段を下りました。


(もてぎ分校・井村篤司)
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